金魚サイト【桜錦道】〜桜錦愛好会〜
高知県の天然記念物に指定されている金魚の品種「土佐錦」（トサキン）。江戸時代、土佐藩（現在の高知県）で「大阪らんちゅう」と「琉金」の交配により作出された平付け反転尾が最大の特徴の地金魚です。長らく高知県でしか見ることが出来ない秘蔵の金魚でしたが、近年その優美な姿から人気も高く、全国的に飼育者の数も増加しているようです。今回は滅多に見ることが出来ない品評会レベルの土佐錦を見るため、愛知県日進市在住の著名な愛好家を訪問してきました。その模様をご紹介します。
（全ての画像はクリックすると拡大されます）
土佐錦の有名な愛好会である「トサキン保存会」と「中部土佐錦普及会」の両方の品評会で準優勝を獲得した個体。全身真っ白な体色が印象的な、体＆尾ともにもダイナミックな親魚。更紗の模様が最上とされているそうですが、何より重要視されるのは土佐錦の最大の特徴である平付け反転尾、口先の尖った品のある顔、そしてバランスの良い丸い体型。良い土佐錦を創るためには、当歳時の丸鉢での飼育やイトメの給餌など、土佐錦独特の飼育が不可欠なようです。（左画像は品評会時の写真を撮影したもの。中央画像と右画像は今回訪問した時のもの）
今回、ご自宅を訪問させて頂いた土佐錦愛好家の泉憲明氏。泉氏はナンキンの著名な愛好家でもあります（ナンキン愛好家訪問レポートのページで泉さんのナンキンを紹介させて頂いています）。見て下さい、この飼育環境！屋上一面に所狭しと並ぶ丸鉢、プラ舟、ＦＲＰ水槽・・・（画像に写っていない場所にも）。土佐錦の場合、夏場は毎日の水換えが必要なため、これらの丸鉢全てに毎日水換えを行なうとのこと。夏場の水道代は１０万を軽く超える月もあるとか。泉さんの本業は獣医さん。・・・マネしたくても出来るはずがありません。
他の土佐錦親魚たち。長手の系統は尾が優れていて、丸手の系統は尾が足りないことが多いとか。丸手で尾の優れた土佐錦を創るべく双方の系統同士を交配しても、なかなか思い通りにはいかないことが多いとのこと。う〜ん、それにしても土佐錦の上見って本当に美しいですね。パール鱗を持つ品種の金魚や肉瘤が発達する品種の金魚は、金魚愛好家以外の人から見ると、好き嫌いがはっきり分かれたりしますが、土佐錦の上見に関しては見る人全てが「美しい！」と感嘆の声をあげるでしょう。ＭＡＤＥ　ＩＮ　ＪＡＰＡＮ！日本が世界に誇るべき最も日本的な素晴らしい品種だと感じます。（実際は画像で見るよりももっと迫力と美しさを兼ね備えた土佐錦たちでしたが、上手に撮影することが出来ませんでした）
土佐錦の明け２歳魚。土佐錦は他の金魚に比べると褪色が非常に遅い品種。画像の金魚たちもまだ褪色していません。３歳になっても褪色しない土佐錦も中にはいるようです。品評会に出せるような土佐錦の反転尾を作るためには当歳時の丸鉢での飼育は欠かせないとのこと（丸鉢での飼育が運動を促し、後々の尾の発達に大きく貢献する）。当歳時に反転がかかりすぎても将来的には転覆しやすいなど、バランスが難しいようです。
（左）：泉さんが所属する中部土佐錦普及会の会報。（右）：当歳魚の部で優勝した泉さんの個体。 中部土佐錦普及会はレベルが高く、非常に熱心な土佐錦愛好家の集団のようです。
本物の土佐錦は手間とお金、情熱をかけて初めて創ることができるのだなぁと、しみじみ実感しました。右端の画像は泉さんの蔵書で、古今東西の金魚に関する様々な書籍！外国のモノから古い貴重な金魚本まで、泉さんの金魚熱が伺えます（金魚に関する書籍を目にするとついつい購入してしまうとか）。
あらゆる金魚の品種を飼育してきたという泉さんが惚れ込む「土佐錦」。種の保存と普及のため、品評会のため、愛玩＆観賞のため、人によりそれぞれ主な目的はそれぞれ異なるでしょうが、ますます土佐錦が良い形で発展・普及していくことを願いたいと思います。
こんな土佐錦たちを拝見させて頂き感謝、感謝です！泉さん、長時間に渡り、親切丁寧にご対応頂き本当にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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